ベトナムでの新規事業に必要なマンパワーを
きらコンの専門知識が補完

大浦工測株式会社

中央:大浦章氏 左右:担当コンサルタント

お悩みと解決

大浦工測株式会社は、現在代表取締役の大浦章(おおうら・あきら)氏の父が設立し、今年で55年目を迎える建築測量がメイン事業の企業です。日本国内の首都圏を中心とする多くの大型建設工事に携わってきました。

大浦氏は大学卒業後に建設省(現・国土交通省)に入省し、河川やダムの構造部などの建設・維持管理に関する業務を経験。30歳で大浦工測株式会社に入社後、当時感じていた建造物の維持管理のニーズから、3Dで建造物をデータ化して維持管理を効率化させる事業を構想しました。2020年、以前から構想はあったものの、踏み出せなかった海外事業展開を本格的に検討開始。その背景には、きらぼしコンサルティングによる「海外事業展開は海外に会社を作るだけでなく、海外パートナーと連携した事業展開も考えられるのでは」という提案がありました。

大浦工測株式会社はきらぼしコンサルティングからどのようなサポートを受けたのか、どのような効果があったのか、大浦氏に事業について聞く中で見えてきたものを紹介します。

培ってきた測量技術を活用してベトナムで展開することをきらぼしコンサルティングが提案。新しい事業の活路を見出す

大浦章氏

ーーきらぼしコンサルティングのサポートの中で印象に残っているものはありますか?

長年培ってきた測量事業を海外、特にベトナムで展開するという提案と、そのための手続きや現地の企業との取引のサポートに大変助けられました。

そもそも、国内でのみ事業を展開してきた弊社がなぜ海外展開に踏み切ったのかというと、大手ゼネコン各社が「海外からの受注割合を30%伸ばす」と言い出したことがきっかけでした。昔から弊社も大手ゼネコンと取引があったため、ゼネコンが海外に力を入れるのであれば、弊社も海外企業と協業することが増えたり、自然と海外展開ができるのではないか、と考えたんです。

しかし、ゼネコンとは「ゼネラルコントラクター」の略称であり、総合契約請負業なんですよね。つまり、その土地の施工会社と契約して建造物を作るのがゼネコンの仕事になります。そのため、海外で仕事をするならその国の施工会社と契約し、日本国内の施工会社は使わないのです。

ならば、弊社はこれまで通り国内の事業に全力を尽そうとしましたが、いくつかの問題がありました。その一つが日本国内の人口の減少です。弊社は元々採用が得意な企業だったのですが、年々採用人数が減っていき、人材の確保が難しくなりました。特に弊社が属する建築業界は顕著だと感じています。

海外の需要がある一方、海外事業展開するための人材確保が困難。この課題解決を考えていた折、メインバンクとして契約していたきらぼし銀行からお声かけをいただきました。そして海外進出を考えていることを担当の方に相談したところ、きらぼしコンサルティングを紹介していただきました。


ーー海外といってもさまざまな国がありますが、なぜベトナムだったのでしょうか。

きらぼしコンサルティングからべトナムの提案があったからです。タイも候補に上がっていましたが、ベトナムがタイに比べて経済発展が著しいということで決定しました。

きらぼしコンサルティングと対話する中で、ベトナムには3Dモデリングを行っている企業が多いという話も聞き、弊社が測量した建造物のデータを現地の企業が3Dデータとしてまとめるというビジネスが確立できるのではないかとも感じました。

また以前から関心があったJICA事業(独立行政法人国際協力機構)についてもきらぼしコンサルティングから活用の提案がありました。弊社の技術がベトナムにどのように活用できるか考えていたのですが、きらぼしコンサルティングのベトナム人コンサルタントから「ベトナムには非常に古い建物が多く、それを維持するニーズがある」という話を聞きました。火災や水害などで歴史的な建造物が壊れてしまっても、建物の寸法情報が残っていれば復元することができます。しかし、ベトナムでは歴史的建造物を測量して図面に残していませんでした。このような環境にあるベトナムでなら、弊社が保有する測量技術を活かして、ベトナムの文化に貢献できるのではないかと考えました。

そこで、JICAが公募している「中小企業・SDGsビジネス支援事業」に、きらぼしコンサルティングの助けをもらいながら、「弊社の測量技術を駆使して、ベトナムの歴史的建造物の維持に貢献する、ベトナムの測量技術の向上に貢献する」という企画を提案したところ、JICAに採択されました。このような背景があり、ベトナムへの進出を決めました。


ーーベトナムへ進出するのに、ちょうど良い機会が巡ってきたということですね。

 はい。現在ベトナムのホーチミンなどにある古い建物を調査・測量する直前の段階まで話が進んでいます。まだ売上にはならないデモンストレーションに近い形ではありますが、ベトナムの政府部門や建設関係者からも高い関心を示して頂き、このプロジェクトをきっかけにベトナムで事業展開できる期待がもてます。

同じ仕事をしても日本人がやるのとベトナム人がやるのとでは、賃金に大きな差があります。ベトナム人にやってもらった方が金銭的なコストを抑えることが可能です。測量から3Dデータ化までにかかる工数と、それをベトナム人が行った場合の費用を定義できれば、日本政府が3Dスキャンの仕事を門戸開放し、海外の人に技術を教える機会を増やすきっかけになるのではないかと考えています。

もし私たちが測量のために毎回海外へ行っていたら、コストも高くなりますし、価格競争になればどうしても現地の企業には勝てません。海外、特にベトナムの人たちに依頼して測量ができるようになれば、弊社としてもさらなるビジネスチャンスになるだろうと期待し、ベトナムでの事業に取り組んでいます。

ベトナム企業との橋渡しやJICAの申請書作成。手間のかかることを全部やってくれた

サポート

ーーきらぼしコンサルティングが行ったサポートについて、具体的にお聞かせください。

手間のかかることを全部やってくれました。具体的には、ベトナムの測量会社や設計会社などのピックアップ、その会社やホーチミン市の機関などとの橋渡し、JICAに提出する申請書の添削、その他諸々です。

特に申請書の添削は大変助かりました。申請書が承認されるためには、ただ私たちの思いの丈を書けばいいわけではなく、確実に達成できる事業計画とそれを裏付ける実績が必要です。その書き方を、きらぼしコンサルティングにサポートしてもらいました。

本当なら私たちが自社リソースでやるべきことなのだと思いますが、当時リソースが不足していたことは否めませんでしたし、できたとしてもこれまでに経験のない専門外のことだったため時間がかかったのは間違いありません。きらぼしコンサルティングが弊社の意図を深く理解し、諸々の作業を主体的に進めてくれたことで、スムーズに作業が進みました。本当に感謝しています。

同じ目線でフラット。何でも相談できた

何でも相談

ーーコンサルタントとのコミュニケーションの取りやすさはいかがですか。

フラットな関係性を構築してくれて、何でも相談しやすく感じています。

きらぼしコンサルティングの担当の方は、ベストな解決策を弊社の一員のようなスタンスで考えてくれていると感じました。きらぼしコンサルティングにだけメリットがある解決策ではなく、弊社にとって最大の利益を生む解決策を提案してくれたので、非常に信頼できました。

それから、ベトナム人のコンサルタントがいて、日本人では知りようのないローカルな情報をベースに提案してくれたことも良かった点です。


ーーサポートが開始されてから、社内で変化はありましたか。

ベトナムの事業を担当している部署のモチベーションが高まっていると感じます。コンサルタントとベトナムに行き、ベトナム政府の人や、大学の教授と話したことで、同行したスタッフたちは現地の人たちの期待を強く感じたのでしょう。

実際に小さい建物を3Ⅾスキャンして、3Ⅾモデリング化するデモンストレーションを行ったところ、データを見たベトナムの人たちがみんな驚いていました。彼らの反応を受けスタッフは「自分たちがやってることは海外でも通用するんだ」という自信になったでしょうし、海外の人とコミュニケーションを取りながら仕事ができたことで、度胸も付いたと思います。

新しいことに挑戦したいけれど、どう展開すればいいか悩んでいる企業におすすめ

今後の展望

ーー今後の展望を教えてください。

今後は、日本から弊社スタッフがベトナムに行って測量をするのではなく、現地パートナーに測量技術を教えて、ベトナム国内で事業展開することが目標です。今後4〜5年は国内の建設がすごく忙しいので、その間のベトナム事業は助走期間として確固とした基礎作りに専念し、もし4〜5年後に国内の建設需要が落ちてきたとしても、ベトナムの方で建設需要が高まっていれば、本格的にアクセルを踏んで黒字化する。このような流れをつくるのが理想です。

さらに弊社が約60年培ってきた「建物を図面通りに建てるための建築測量」をベトナムだけでなく東南アジア全体で広めることも考えています。東南アジアには、本来必要な品質に達していないまま建設した超高層ビルが数多くあります。もし大地震などが起きれば、大きな被害が出てしまうかもしれません。このような問題を抱えた国では、弊社の祖業ともいえる建築測量の技術が役に立つはずです。


ーー最後に、きらぼしコンサルティングは、どのような企業におすすめですか。

何か新しいことに挑戦したいけれど、どうすればいいか悩んでいる企業におすすめです。

例えば社長と数名の従業員しかいないものの、本業はうまく回せている企業があるとします。このような企業では、海外事業など新しい事業を立ち上げる際にリソースが足りない傾向があります。自社を取り巻く環境はどんどん変わっていくので、時代に合わせた新しい事業を展開していかなければなりません。それも簡単な話ではなく、新しい事業といっても何をすればいいのか、なかなか見つけにくいでしょう。

その際に力を貸してくれるのがきらぼしコンサルティングです。弊社の場合は海外事業に乗り出すという新しい試みをきらぼしコンサルティングに提案してもらい、さまざまなサポートをしてもらいました。弊社はどうしても国内の本業にマンパワーを割く必要があり、仮に海外事業を自社で思いつき、自社リソースだけで進めようとしても、本業と並行して行うのは難しかったと思います。

きらぼしコンサルティングは弊社に海外事業以外にも、SDGs事業といった新しい取り組みの提案と、そのための支援をしてくれました。弊社と同じように何か新しいことをしたいけれど、アイデアがなかったりマンパワーが不足したりしている企業は、まずは相談してみるといいと思いますよ。
最後に

 

<担当コンサルタントより>

大浦工測様は、大浦社長が率先して海外展開を進めるなか、社員の皆様も社長と共に海外展開を検討しており、会社全体で新しいプロジェクトに挑戦される力強さをいつも感じています。海外展開が成功できるよう弊社もサポートして参ります。

きらぼしグループには中国、ベトナム、タイに拠点があります。またきらぼしコンサルティングには外国籍のコンサルタントも在籍し、お客様と一緒に海外展開を考えることからサポートしていますので、海外展開を検討の際はぜひお問い合わせください。

大浦工測株式会社

設立:1962年(昭和37年)5月

従業員数:310名(令和4年7月現在)

事業内容:

建築測量、一般・土木測量、3D計測、監督派遣

HP:https://www.oura.co.jp/

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