投資家の目線でIRを再設計
~企業価値向上に向けた情報発信改革~
東京インキ株式会社

取締役・常務執行役員管理部門長、IR統括の中村真次様(右から4番目)、理財部長・正木翔様(同5番目)、理財部IRチームの皆様と。

インキ事業・化成品事業・加工品事業によって印刷物や身近な包装、インフラ強化などに貢献している色彩総合化学メーカー、東京インキ株式会社。大幅な増益によって上場来高値を更新するなど株価が好調です。2025年に株式分割を行い、投資家層のさらなる拡大が見込まれる中、より適切な情報発信へ向けて舵を切りました。IRを統括する取締役・常務執行役員の中村真次様と、理財部長の正木翔様に、きらぼしコンサルティングとの取り組みを振り返っていただきました。
投資家の関心やニーズをキャッチアップ
ともに手を動かした資料が機関投資家に響いた
――ご提案を採用するうえで決め手になったものは。
中村常務 最も印象に残っているのは、私たちと伴走していただけるということでした。ずっと寄り添いますよ、なにかあればいつでも声かけてください。そういった距離の近さが私たちに合っていたと感じました。
正木部長 そのうえオプションが非常に豊富で、対応が柔軟なんですよね。プログラムが画一的だったり、なにかに特化したりといった不便さがなく、「法定開示の方も見ましょうか」「説明会のサポートもしますよ」と、実務について一緒に手を動かしていただけることが決め手になりました。
――IR資料のブラッシュアップとは、どのような内容でしたか。
正木部長 一例を挙げると、中期経営計画は骨子自体は固めていたものの、具体的な文言や図版の見せ方を草稿レベルからご相談しました。50ページに及ぶ内容に対して、作業期間は実質1か月程度のタイトなスケジュール。それでも大局的なところから各論まで、包括的にアドバイスを受けることができました。
中村常務 「各セグメントの数字を具体的に出しましょう」と指摘されて、これまで開示を躊躇していた情報にも手を入れました。図版にも「細かい目盛りよりも増減をはっきりと」などとチェックが入り、デザインを見直していきました。
使用する文言についても同様です。社内で日常的に使っている用語でも外部の方には伝わらないとか、厳しいコメントもたくさんありましたね。
正木部長 決算説明資料についても、これまでは短信と重複した内容が多かったのですが、ご指摘をいただいて説明資料独自の情報を加えるようになりました。
実務を担当したメンバーが驚いたのは、きらぼしチームのレスポンスの早さです。普通なら「何日いたただきます」といわれそうなものですが、翌日には具体的なコメントが届く。その結果、限られた時間の中でも何往復もやりとりができ、投資家の方々に自信を持ってお見せできるクオリティになりました。
中村常務 機関投資家とのIRミーティングでは「我々が知りたい情報がきちんと折り込まれた資料」「情報がよく整理されていて、こちらも質問のポイントを整理しやすい」と、高い評価をいただいています。IRに携わる私たちにとって本当に励みになりますね。

IRイベントで「印象に残った出展企業」第6位に
――「日経・東証IRフェア2025」に初出展されました。その際のサポートは。
正木部長 説明資料のほかに、自社ブースで主催するプログラムの構成も見ていだきました。1回につき30分ぐらいのプレゼンテーションを考えていたところ、「投資家の皆さんは各ブースを回るのに忙しいからもっとコンパクトに」と助言されて、ポイントを絞ったシナリオに改稿しました。
登壇する社長も「きらぼしさんが確認してくれた原稿なら大丈夫だろう」と全幅の信頼を寄せていましたね。
中村常務 当社はBtoBの会社なので個人投資家の方に製品をお見せする機会がないものですから、この日は実物をできるかぎり持ち込んで、技術チームからも説明を加えました。そういった製品紹介についてもきめ細かいアドバイスを得られました。
正木部長 資料と現物をセットにして丁寧に説明したのが奏功して「わかりやすかった」というお声を会場からたくさんいただきました。主催者が実施した来場者アンケートによると、出展した146社の中で印象に残ったブースの第6位に挙がったそうです。おかげさまでミニ説明会は立ち見が出るほどにぎわいました。当社が包装フィルムを納めているお菓子メーカー様の人気商品をノベルティに用意したのですが、早々にはけてしまい、買い足しに走ったほど。
中村常務 イベント当日は週末にもかかわらず、きらぼしコンサルティングの役員をはじめ、コンサルチームの皆さんが来場してくださって、ありがたかったですよ。ちゃんと足を運んで直接フォローアップしてもらえるんだなと実感しました。
SNS発信や地方でのイベント開催に意欲
――2025年10月からコンサルの第2フェーズに入られました。再びご依頼くださった理由はなんでしょうか。
正木部長 第1フェーズの契約が終わる前月に、今後強化すべきポイントについてご提案をいただきました。第1フェーズでしっかりと結果が出ている点を踏まえて、引き続きプロの知見やアドバイスをいただこうとご協力をお願いした次第です。
中村常務 今後は「デジタルIR」を掲げて、SNSでの発信やホームページの改修などに取り組むつもりです。これまで不足していた動画コンテンツにも力を入れますよ。IR・SRや社の内外を問わず、当社の魅力を幅広い層に感じてもらうために動画は重要だと思っています。人材の採用活動などにも利用できるかなと期待しています。
――貴社の株式が5分割されて、個人投資家の関心が高まっています。デジタルIRのほかに、個人向けの施策はお考えですか。
正木部長 関西などでも関心を持ってくださる方が多いようです。地方でも個人投資家向けのIRフェアや説明会を開催したいですね。
中村常務 株式の長期保有を促す施策を打ちたい。当社を知っていただくというミッションはかなり成功していますから、次は長期にわたって保有していただき、配当などでしっかり還元するというサイクルの構築に軸足を移していきます。今後はPBRや時価総額をより意識していく必要があるので、その点でもきらぼしコンサルティングには期待しております。
中堅・中小企業を理解し、一緒に汗をかいてくれる
――ありがとうございます。最後に、あらためてきらぼしコンサルティングへの感想をお聞かせください。
中村常務 当社はパーパスに「伝える」「彩る」「守る」ことで、豊かな未来を実現すると掲げていますが、明確なアドバイスを受けたことで発信の重要性を再認識しました。
IRにかけられるお金や人は限られているけれども、その中でできるパフォーマンスを最大限引き出してくれるのが、きらぼしグループの強みだと思います。
正木部長 きらぼし銀行をはじめ地域密着型の金融グループですよね。中堅・中小企業の内情を理解しながらこちらの要望に誠実に応えてくれると感じます。実務についても、私たちのリズムに対応しながら一緒に汗をかいてくれるところが大きなポイントでした。
当社も本業でしっかりと利益を出し、株主の方に還元していくというキャッシュアロケーションを明確にして、持続可能な価値を提供しつづけます。
担当コンサルタント(永塚:右奥)とプロジェクトメンバーより
インタビューでは実務を担当されている理財部IRチームの皆様からも「安心感があった」とのお言葉をいただき、感謝申し上げます。引き続き第2フェーズではIR資料のアップデートに加えて、IRサイトの整備・充実や、SNS・動画コンテンツの活用などについてアドバイザリーサービスを提供してまいります。毎月の定例会のほか、ご担当の方々とは随時ミーティングを行い、キメの細かいご支援を続けます。きらぼしコンサルティングのサポートにどうぞご期待ください。
東京インキ株式会社
設立:設立:1923年12月
従業員数:従業員数:541名(グループ全体で675名)
事業内容:インキ事業・化成品事業・加工品事業など
取引支店:王子支店
https://www.tokyoink.co.jp

――1961年に東京証券取引所(東証)に上場して60年以上の歴史があり、IRに関しては充分な経験と知見をお持ちの企業だと思いますが、コンサルティングを依頼された理由や背景があればお聞かせください。

中村常務 2023年に東証から資本コストや株価を意識した経営についての要請がありました。自社の資本コストや資本収益性を的確に把握して分析を加え、改善に向けた計画の策定・開示と、投資者との対話を通して経営をアップデートしましょう、といった内容です。それを受けて、当社が長らく上場している意味をあらためて考えました。
潜在的な株主層を掘り起こして当社への投資につなげ、なお一層の企業価値向上を図るため、IRと業績向上を両輪として力を入れることになりました。
正木部長 もちろんIR活動自体はそれまでも取り組んでいましたが、投資家の興味やニーズ、訴求すべきポイントなどのキャッチアップが課題でした。手探りで進めていたところにタイミングよくご提案をいただきました。私たちの課題に対して、機関投資家出身のアドバイザーから専門的な助言を受けられるとのこと。そこで2025年の3月から半年間、決算説明資料や株主総会資料、中期経営計画、統合報告書など、IR資料のブラッシュアップをお願いしました。ちょうど業績も伸び、8月には決算短信で成長を報告できましたので、歯車がうまく噛み合ったなと思っています。