廃業理由の3割は”後継者不足”!今から準備すべき事業承継とは?

事業承継

自身が年齢を重ねてきたこともあり、そろそろ後継者を探したいと考えている経営者は少なくないでしょう。一方で、企業の中には後継者が見つからず廃業に追い込まれてしまうケースもよく見られます。このような事態を避けるためには、早い段階から事業承継に向けた準備を行うことが大切です。この記事では、事業承継を行う際の具体的な方法について解説します。後継者探しに難航している経営者は、ぜひ参考にしてください。

業績に問題が無いのに廃業する企業が増加

東京商工リサーチのデータによると、2020年の1-12月に、全国で休廃業もしくは解散をした企業は、前年比14.6%増の4万9,698件にのぼります。これまでは、2018年(4万6,724件)が最多でしたが、これを上回り、調査開始以来の最多を記録しました。ちなみに、業績に問題があって廃業に追い込まれた企業は減少しており、2020年は前年比7.2%減の7,773件でした。



廃業と聞くと、業績悪化が原因となっているイメージを持っている人もいるかもしれませんが、中には業績に問題がないにもかかわらず、廃業を選択する企業が増加しています。
では、なぜ廃業を選択する企業が増えているのでしょうか。

出典:東京商工リサーチ「2020年「休廃業・解散企業」動向調査」

廃業を選択する理由の約3割は“後継者不足“

廃業を選択している企業の中には、経営者の高齢化や後継者不在で廃業を選択せざるを得ない企業も少なくありません。

日本政策金融公庫総合研究所の「中小企業の事業承継に関するインターネット調査(2019年調査)」によると、全国の従業者数299人以下の中小企業4,759件のうち後継者が決定している企業は12.5%で、廃業を予定している企業は52.6%となっています。また、そのうち後継者難による廃業を理由として答えた企業は29.0%でした。

後継者が見つからない背景には、経営者の高齢化や、後継者選びや育成期間に時間を確保することができないことなどがあげられます。そのため、事業承継はできるだけ早い段階から準備しておくことが重要です。

続いて、事業承継の3つの選択肢とそれぞれの特徴について解説します。

出典:日本金融公庫総合研究所「中小企業の事業承継に関するインターネット調査(2019年調査)」

事業承継対策としての3つの方法

事業承継を行う場合、大きく分けて、親族内での承継、親族外での承継、M&Aによる承継の3つの選択肢があります。ここでは、それぞれの概要と特徴について詳しく解説します。

親族内承継

親族内事業承継は現在の代表者の子どもなど親族を後継者に据える場合に用いられる方法です。社内外の関係者から受け入れられやすい、後継者の準備期間を確保できる、財産や株式を後継者に移転するなど、所有と経営の一体的な継承が可能などのメリットがあります。ただし、事業承継後も会社が健全に存続・発展するためには、社長としての能力があるかの判定が重要となってきます。「自分の子どもだから継がせたい」といった思いから承継してしまうと、社内の他の従業員の批判を招き、モチベーション低下や経営状態の悪化にも繋がりかねません。親族内での事業承継を行う場合は、あくまでも能力を把握したうえで、その人がベストな選択である場合に行うべきだといえます。

役員/従業員への承継

親族に後継者として適切な人材がいない場合は、親族外での事業承継も選択肢となります。親族外での事業承継には、社内から選定するケースと、社外から選定するケースがあります。

社内から後継者を選定する場合は、社内にアナウンスを実施し、やる気のある後継者候補を選び出すプロセスを踏むことが望ましいといえます。会社の役員や従業員など社内の人間であれば、会社の雰囲気や業務の流れを理解しており、一定の関係性を構築しているため同意を得やすい状況にあります。また、金融機関や社外取引先などのステークホルダーからも経営方針等の一貫性が保たれるなどの理由から受け入れやすいと言えます。

一方で、必ずしも社内に適切な人員がいるとは限りません。

社内に適切な人員がいない場合、社外から後継者を探すことになります。一例として、事業の成長を見越してPE(プライベートエクスファンド)から出資を受けつつ後継者を探す方法や、IPO(Initial Public Offering)という方法があります。

PEから出資を受ける方法では、ハンズオンの経営指導を受けながら、事業の価値を高めるために2~5年の期間を設け、その間に後継者を社内外から探します。
またIPOの主な目的は資金調達の手段ですが、株式を上場させることでより優秀な人材を確保でき、後継者の選定を行いやすくする方法でもあります。

親族内または社内からの後継者選定は、後継者が比較的近くに存在し、かつ適切な人員である場合に採用できる方法です。後継者を選定しやすく、事業の成長が期待できます。一方で、身近に後継者がいない場合は、IPOや後述のM&Aといった手法も選択肢となり得ます。

第三者への承継

親族内や第三者への事業承継以外にも、M&Aによる事業承継をとる方法もあります。

M&Aを実施することによって、後継者の問題を解決できるだけでなく、事業をそのまま残せるため、従業員の雇用を維持することも可能です。そのため、後継者不足に悩む企業にとっては有効な方法の1つです。

しかし、必ずしも売却先が見つかるわけではない点には注意しなければなりません。

加えて、売却先の企業の意向によっては従業員の雇用条件が悪くなる可能性もあるほか、既存顧客や取引先との関係性が悪化する恐れもあります。そのため、M&Aによる場合は、事業を引き継ぐ企業についてもしっかりと理解することが重要です。

このように、事業承継の方法はさまざまですが、どの事業承継の手段をとるにしても、幅広い知識が必要となります。そのため、自社のみで行うのではなく、専門家からのサポートを受けることも重要となります。

事業承継のサポートはきらぼしコンサルティングにお任せください

事業承継に必要な経験を持っている経営者は多くはなく、いざ継承しようとしても、思わぬところで躓いてしまうケースもあるでしょう。スムーズな事業承継実現のためには専門家のサポートが必要不可欠です。

きらぼしコンサルティングは、「東京きらぼしフィナンシャルグループ」の子会社であり、コンサルティングや企業経営情報の提供、セミナー・講演会の実施といった各種サービスを通して企業の成長支援に取り組んでいます。

金融機関のグループ会社ということもあり、お金や会社に関する各種手続きを行う際でも手厚いサポートが受けられる点が特徴です。また、企業経営の専門家も多数在籍しているため、経営サポートや事業承継のサポートも行っています。

事業承継を行うにあたっては、まず経営上の課題を明らかにしたうえで、「経営権」「事業」「財産」をバランスよく承継できるように最善の方法による承継を提案いたします。きらぼしコンサルティングのサポートに興味のある方は、ぜひ利用を検討してみてください。