DX、デジタル化、IT化なぜ進められないのか?

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はじめに

 Googleで“中小企業 デジタル化”と入力するとトップの方にきらぼしコンサルティングの『中小企業のデジタル化はなぜ進まない?』という記事が上がってきます。毎月多くのアクセスがあることからも、経営者のみなさまはそのような課題をお持ちなのだなと感じています。

中小企業のDX/IT人材とは?

 デジタル化が進められない理由のひとつとしてよく挙げられる声のひとつに“うちはDX/IT人材がいないから”があります。しかし、そもそもDX/IT人材ってどんな人材なのでしょうか?

「うちの若手でパソコンとかスマホに詳しいのが居て、先ずは彼を中心にDXを進めようと思う」「パワーポイントやエクセルをうまく使いこなしている人に担当してもらおうと……」といった話をよく聞きます。ITツールを使いこなせる人が、「DX/IT人材」なのでしょうか?

 正確には異なりますが、建設業と比べながら考えるとイメージし易いかもしれません。
建築物は、設計会社、施工会社、各種測量・測定・調査会社、各種下請け業者(設備、建設機械等々)、部材提供会社など多くの専門家や作業者によって完成します。建築にあたっては、「どのような人がどのように使う建物である」といった目的/目標があります。
たとえば、病院を建てるのであれば、“アットホームな病院”といったコンセプトや、職員が働きやすい導線や、バリアフリーといった全体的なコンセプトから、要件を詰め設計を行うのではないでしょうか。その目的/目標自体を考えるのは、病院を運営する立場の方で、どのように実現するかを考えるのは、決してクレーン操作が出来る人や、配管工事や電気工事のプロではないはずです。

 「DX、デジタル化、IT化」も、企業全体を俯瞰し、最適化を念頭に働く人に合った仕組みを作るといったような目的/目標が、前提として必要です。そこで、企業にとって必要な「DX/IT人材」とは、ITツールを使いこなせる人ではなく、経営目的/目標の具現化するための業務要件をデザインし、更にその業務要件からシステム要件を定義しできる人となります。業務要件からシステム要件を定義する人材は、ITベンダーさんにも居ますし、居ないベンダーさんは避けるべきです。この業務要件をITベンダーさんに正しく伝える人材が、必要とされているDX/IT人材といえます。

中小企業は大企業よりデジタル化推進に向いている

 次に、デジタル化が進まない原因として、”うちは中小企業だから”、というお声をよく聞きます。実は、中小企業は大企業より「デジタル化推進」に向いていると言えます。なぜなら、大企業になればなるほど、全体を俯瞰した仕組み作りは複雑で難しいですし、働く人や働き方も多様性を増すからです。さらに、組織の縦割り指向が強ければ、組織横断で考えることへの抵抗が大きく最適化の障壁となります。多くの方が思い込んでいる「ITツールを使いこなせるといった意味でのDX/IT人材」は、確かに大企業の方が圧倒的多数でかつレベルも高いのかもしれませんが、自社の目的/目標に沿った「DX、デジタル化、IT化」に必要なのは、決して「ITツールを使いこなせるといった意味でのDX/IT人材」ではないはずです。

 日本でデジタル化が進まない原因について、多くの識者が手段/ツールの話(DX、デジタル化、IT化)より目的/目標を目指すようにと語っています。なぜそれが理解されないのか、この「理解されない事」がデジタル化が進まない根本の問題なのではと考えます。部分最適化や目に見える具体的な課題解決を得意とし、抽象度が高く漠として掴みがたい全体的な話や、中長期の計画については後回しにするといった、日本企業にありがちな傾向にも一因があると言えるでしょう。

 中小企業は組織が小さい分、経営トップが中長期視点と全体最適を念頭に置き、経営目的/目標を実現させるための有力な手段として、如何にデジタルを活用するかといった認識を持てばよく、大企業のような忖度や組織間対立等の影響を考えずに済むと思います。

経営目的/目標を実現するためにデジタルを活用するためには

 繰り返しますが「DX、デジタル化、IT化」自体は、経営の目的/目標ではありません。たとえば、「従業員が年間を通して定時勤務時間かつ有休消化率80%以上を実現し、研修も計画通り受ける事が出来た上で、事業計画目標(例えば営業利益率10%)を3年後に達成する」というものが目的/目標です。そして、このような計画を実現するための有力な手段として、デジタルを活用するのです。

 勤務時間内に、業務改善や先行きについて備える等の検討時間を、定常的に確保している企業は多くないと思われます。先述したように、「DX、デジタル化、IT化」は、前提として経営目的/目標に即した業務要件が必要です。この業務要件実現にあたっては、大抵の場合、既存業務プロセスの変更が伴うため、定常的に業務改善や先行き検討などを行っていない企業にとっては、慣れないプロセス変更、検討時間の確保などハードルは低くありません。また、不確実性が高まる昨今、ビジネス環境変化への対応は、この様な日頃からの活動が大切です。

このような活動に適する「人材」は、上司からも同僚からも信頼され最も忙しく働いている人である場合が多いと思います。こう言った適任者の時間をきちんと確保し、活動への評価が行われることが、デジタル化の成功率を高め、経営目的/目標実現への第一歩となります。
また、そういった人材に寄り添い、支援するのが我々コンサルタントの役割です。ぜひ、企業の目的/目標に沿ったデジタル化を推進してまいりましょう。

 今回の記事では分かり易くするため、「DX」をデジタル化やIT化と同列として記載しました。本来は次元の違うもので、これも多くの人に誤解を持たれており、機会を見て記したいと思います。

きらぼしコンサルティング ITコーディネータ 梶原俊博