中小企業のデジタル化はなぜ進まない?
理由と推進メリット、DXとの関係を解説

ICT

近年、経営改革を実現する手段としてデジタル化さらにはDXが今や必要不可欠となっています。しかし多くの中小企業ではデジタル化が進展していません。本記事では、なぜ中小企業でデジタル化が進まないのか解説するとともに、デジタル化のメリットもご紹介します。

現在DXに取り組めている中小企業は1割に満たない

近年、あらゆる業界で「DX」が注目されています。DXとは「デジタルトランスフォーメーション」の略で、顧客視点の価値創出のため、デジタルの活用によりビジネスモデルや組織を変革することを意味します。
働き方改革による長時間労働の是正やコロナ禍によるリモートワークの普及、さらに既存ITシステムの老朽化が深刻になる「2025年の崖」といった社会背景から、DXの推進は多くの企業にとって喫緊の課題です

しかし、現状ではDXは思うように進んでいません。内閣府の資料(「令和3年経済財政白書」第2章第2節)によると、大企業(従業員500名以上)ではDXに部分的にでも取り組んでいる企業の割合は7割弱に達しているものの、中小企業でDXに取り組んでいる割合は1割弱と、極めて少ない状況です。

また、DXはデジタル化そのものではないと理解することが必要です。経済産業省「DX認定制度の概要及び申請のポイントについて」によると、「DXはデジタル技術をつかって、つながり方を変えて、本当にやりたかったことをやること」と述べられています。つまり、DXはデジタル技術を活用し、ユーザー視点で新しい価値を提供できるようにビジネスモデルを再編することです。

DXの推進にあたっては、アナログデータをデジタル化する「デジタイゼーション」、そして業務プロセスのデジタル化である「デジタライゼーション」と段階を踏む必要があります。
しかし、多くの中小企業ではデジタル化の重要性を経営課題として認識しておらず、第一段階のデジタイゼーション(デジタル化)も進んでいません。なぜ中小企業ではデジタル化が進まないのか、次章でその理由をご紹介します。

中小企業のデジタル化が進まない6つの理由

中小企業のデジタル化が進まない理由として、以下の6つがあります。

運用・導入ノウハウ不足

1つ目は、デジタル化に必要なICT・IoTの運用・導入のノウハウ不足です。これらはDXの基盤となる技術でもあるため、ICT・IoTを導入できなければ、デジタル化の先にあるDXも達成できません。
また、社内にデジタル人材が不足しているために、運用・導入に向けて人材のリソースを割けないことも原因として挙げられます。

デジタル化のイメージができていない

2つ目の理由として、社内でデジタル化を進めることへのイメージがわかないという現状があります。原因として、デジタル化の具体的な事例を把握していないことが考えられます。

まずは、デジタル化によって何ができるようになるのか知り、具体的な効果のイメージを持ちましょう。
具体的な事例については、先述したICT・IoTの観点から下記の記事で紹介していますので、あわせてご覧ください。



 

デジタル化への理解不足

3つ目は、経営者層のデジタル化への理解が不足している点です。
経済産業省の平成30年「※DXレポート」によると、企業における経営層・各部門・人材等の課題として「会社の中にシステムに精通した人やプロジェクト・マネジメントできる人材が不足している」と言われており、経営者の理解不足が深刻な問題であることがわかります。
※出典:経済産業省 「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」

経営層の理解が不足していると、デジタル化は従来の業務を効率化するだけという一過性の取り組みになってしまいます。冒頭で説明した通り、経営戦略とデジタル戦略は一体であるため、経営者が前向きに取り組まなければなりません。デジタル化の先にあるDXを実現するためには、経営者が率先して業務の抜本的改革の音頭を取るとともに、デジタル化への投資も進めていく必要があります。

IT技術の導入効果が不透明

4つ目は、特に中小企業ではIoT技術の導入効果が不透明だと感じる企業が多い点です。この背景には、IoTを深く理解し、導入を主導する人材が中小企業には少ないという問題があります。
また、コミュニケーションを円滑にするICTの活用においても、現場レベルでは取引先と電話やファックスでやり取りすることが慣習となっており、ICT活用が進まないケースもよく見られます。

コストの負担が大きくなってしまう

5つ目は、IT投資にかけられる予算が限られているため、デジタル化を進めにくい点です。
大企業に比べ、中小企業は人手に頼って業務を進めていることが多く、ITシステムを導入する際の障壁が高い傾向があります。また多くの中小企業にとって、ICTやIoT導入のためにまとまった資金を用意することは難しく、こうしたコスト負担が足かせとなりデジタル化が進んでいません

従業員のITスキル・リテラシー不足

最後に、従業員にITスキルやリテラシーが不足している課題もあります。システムを導入したとしても、それを利用する従業員にITスキルやリテラシーが備わっていなければ大きな成果は期待できません。

従業員のIT教育に時間を割くことが求められますが、そもそもITリテラシーが高い人がいないということもあり、その場合は必要に応じて外部の専門家にサポートを依頼することも視野に入れておくことが重要です。

このような現状を打開するためには、中小企業がデジタル化によってどのようなメリットを得られるのか知る必要があります。

デジタル化が中小企業に与える3つのメリット

中小企業が知っておくべきデジタル化のメリットとして、以下の3つがあります。

業務効率化の実現と生産性の向上

デジタル化の推進により、業務効率化も実現します。なぜなら、属人化していた業務の一部が標準化されシステム化されるからです。これにより誰でも同じクオリティで業務を行えるようになります。
またデジタル化は、従業員の作業を見える化することができるため、人材リソースの最適な配分も可能となり、より生産的な業務に時間を割けるようになります。

業績への好影響と結果としての収益増加

デジタル化の推進は、企業の業績に好影響を与え、長期的な収益の増加に寄与します。
中小企業庁の資料(「2021年版中小企業白書」第2部第2章)によると、IT投資額が増加傾向にある中小企業のうち、デジタル化の推進が業績に好影響を与えたと回答した割合は7割を超えています。業績拡大によってIT投資の費用は回収可能であり、長期的には収益の増加をもたらす可能性が高いということです。

変化への対応力向上

世の中は日々変化しており、企業が生き残るためには変化に柔軟に対応していかなければなりません。現在の変化としてはデジタルシフトが中心となっており、デジタル化が不可欠です。近年の代表的な例として、コロナ禍におけるテレワークへの移行が挙げられます。デジタル化を進めることで業務の一部をシステム化したり、ペーパーレス化を進めたりでき、テレワークが行いやすくなります。
このように、デジタル化は在宅勤務と会社での業務のハイブリッド型ワークスタイルを実現できるなど、変化への対応力を向上させます

以上のようなメリットがあるデジタル化ですが、中小企業ではなかなか進めにくいといったお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。そこで、中小企業のデジタル化には、外部の専門家のサポートを依頼することも重要です。次章では、中小企業のデジタル化を支援している企業をご紹介します。

きらぼしコンサルティングは中小企業のデジタル化を支援!

DXとはデジタル技術をつかって、ユーザー視点で新しい価値を提供できるようにビジネスモデルを再編することです。デジタル化を行う際には経営戦力とデジタル戦略を一体と考え、DX推進の土台となる計画を策定することが重要です。

国の「DX認定制度」においても、単にデジタル化を進めるだけでなくビジョンや戦略を持つ企業でなければ認定されません。「経営戦略・事業計画」を策定していることがDX推進の土台となるため、まずはこれらを定める必要があります。しかし、こうした戦略・計画の策定にあたり、何から始めれば良いかわからない企業が多くなっています。そこで重要となるのが、策定の支援をしてくれるパートナーの存在です。

きらぼしコンサルティングなら、お客様の事業について理解を深めたうえで、デジタル化に向けた最適なソリューションを見極めるための支援ができます。具体的には、ICT/DXコンサルティング、ビジネスマッチングサービス、行政・各自治体との連携といったサービスや、オンラインコミュニティの提供を行っています。
こうした支援ネットワークを活用することで、デジタイゼーションからデジタライゼーション、そして最終的にはDXの実現も可能です。

経営課題解決のため、どうデジタルを活用すればとお悩みの方は是非下記をご参照下さい。