代表の夢である海外進出をサポート。冷凍文化のない国へ二人三脚で事業を展開

株式会社カノウ冷機

写真左:代表取締役 叶 伸一 氏 / 写真右:担当コンサルタント 稲 明

飲食店や小売業、医療・研究などさまざまな業界で「冷やす」という技術が求められます。そのニーズに対応するべく、超低温の冷凍庫などを製造しているのが株式会社カノウ冷機です。

株式会社カノウ冷機は、現在代表取締役の叶伸一(かのう・しんいち)氏の父が1988年に創業し、叶氏は2004年に一般社員として入社。2016年に役員となり経営を譲り受けました。このときの事業承継支援がきらぼしコンサルティングからカノウ冷機への最初のサポートとなりました。

そこから工場内のオペレーションの効率化や、人事評価制度構築など、さまざまな課題解決を支援。そして現代表である叶氏が夢としていた海外進出もきらぼしコンサルティングが伴走しています。

「冷凍文化のない国に販路をつくりたい」タイの企業と取引開始

ーー事業承継だけではなく、経営課題についてもきらぼしコンサルティングに相談していらっしゃるのでしょうか。

はい。きらぼしコンサルティングは顧客である企業のさまざまな経済状況を詳しく把握していて、私が経営していく上で有益な情報をたくさん持っているという印象が強くありました。事業承継をして以降、私一人で経営のことを考えたり判断を下したりするのは迷いが多く、精神的な負担になることもあったため、以前から企業経営に詳しい方に相談する必要があると感じていました。

実際に相談する中で、悩みに感じていた課題の解決策や、新しい事業展開につながる提案をしてもらえました。

 

ーー「新しい事業につながる提案」とは、具体的にどのようなことでしょう。

日本以外の国に販路を作ることです。

担当コンサルタントの方には「東南アジアのような冷凍文化のない地域に、冷凍文化を作りたい」という話をしてきました。日本国内だけではパイが限られているため、海外向けに弊社の製品を展開できないかと考えていたんです。

東南アジアの国々には獲った魚などを冷凍保存して、市場や飲食店に運ぶ技術がほとんどありません。生魚が食べられないのもそのためです。このような状況を知り、海外展開を本格的に考えました。

そんな折、担当の方が弊社と取引を希望するタイの企業を見つけてくれて、その企業と取引を開始することになりました。タイも冷凍文化のない国の1つです。現在、弊社の製品はヨーロッパのデンマークで製造しているのですが、タイの企業と取引をするならばタイで製造した方が短納期を実現でき、コストも低く抑えられるといったアドバイスやサポートも、担当コンサルタントの方がしてくれました。

それから、販路をベトナムなどの東南アジアに広げるための取り組みも、引き続き一緒に行っています。

食生活や医療の面でベトナムに住む人の生活をより良くできる冷凍文化を広げたい

ーーベトナムは経済が盛り上がっていると聞きます。このような情勢もあってベトナムへの進出も考えたのでしょうか。

それもありますが、きっかけはきらぼしコンサルティングがベトナムの企業ともコンサルティング契約をしていたことです。ベトナムにも冷凍文化が今はありません。経済成長真っ只中の国ですが、日本と比べるとインフラ面などまだまだ整っていない部分があります。ベトナムの企業も自国をより発展させ、国民が豊かな生活を送れるような事業を展開していこうと考えているようです。

きらぼしコンサルティングでは、ベトナム現地の企業だけでは実現できない事業を、日本の企業とマッチングすることで、実現させるという取り組みをしていると聞いています。弊社もマッチングしてもらった企業の1つで、先ほどのタイの企業だけでなく、ベトナムの企業とも取引を進めているところです。

もしカノウ冷機が東南アジアに進出し冷凍文化が生まれれば、将来的にタイやベトナムでも日本のように美味しい刺身が食べられるようになるかもしれません。

 

ーー冷凍庫により国の食文化が変わる可能性があるとは、夢がありますね。

そうですね。さらに、冷凍庫が役に立つのは生鮮食品の保存・運搬だけではないと考えています。

先日ベトナムに行ったとき、路上に氷をたくさん並べて薬を売っている人を見かけました。詳しく話を聞いたら、ベトナムは国民と国の関係性や医療費の問題が影響し、病院が発展していないという現状があるそうです。そのため国民の病院に対する信頼性が低く、路上で薬を販売し、人々はそれを買う習慣があるとのこと。

薬は冷凍保存して鮮度を維持しなければいけないものの、ベトナムでは冷凍保存をする技術や文化がないことを知り、冷凍庫が必要だと痛感しました。今回、現地に訪問して打ち合わせした企業さんも冷凍文化の発展を目指していて、私と同じ想いのようです。このような現地企業と、弊社の橋渡しをきらぼしコンサルティングがしてくれました。

「想いが同じ」というのが我々にとって非常に重要です。その点をきらぼしコンサルティングは付き合いが長いこともあり、きちんと把握してくれているのが有難いですね。

事業承継をきっかけにコンサルティング契約がスタート。現在も経営に関する悩みや事業展開の相談を継続

ーー時系列は前後しますが、きらぼしコンサルティングとの出会いについて教えてください。

事業承継のサポートをいただいたのが最初でした。きらぼし銀行の支店長さんが弊社に立ち寄ってくれたのがターニングポイントです。それが10年ほど前で、当時私はこの会社の一般社員として働いていました。

きらぼし銀行との取引自体は先代の時からで、支店長さんはその日、弊社の様子を実際に見にきてくれたのだと思います。そのとき「社長さんの息子さんですよね?少しお話ししませんか」と声をかけてくれて、会社の経営のことなどをヒアリングされました。

後日支店長さんが事業承継の提案資料を持って来てくださり、事業承継のサポートを正式に依頼しました。実際のサポートはきらぼしコンサルティングが対応いただくので、それが出会いになりますね。

支店長さんが事業承継の話を提案してくれたのは、私にとっても父にとっても良いきっかけだったと思います。いつまでも事業承継しないままというわけにもいきませんので。

「外部の人」ではなく「社内の人」のような深い関係性が築け、些細なことも相談しやすい

ーー事業承継と海外進出、それ以外に相談したことはありますか?

人材育成をするための人事評価制度について困っていました。元々、社内に人事評価制度がなく、従業員たちも評価されることに慣れていない環境の中、私の代でいきなり評価制度を作るのは、従業員たちからすると抵抗があったと思います。そこで担当コンサルタントの方に相談しました。

社内の管理職もできるだけ一緒に人事評価制度構築に参加してもらい、私一人の視点だけの偏った評価制度にならないよう調整するなど、人事評価のハードルがなるべく高くならないように段階的に制度を整えていくアドバイスなどをしてくれましたね。

 

ーー他のコンサルティング会社の利用を検討したことはありませんでしたか?

ありません。支店長さんや現在の担当コンサルタントの方はとても親切ですし、私以外の社員ともコミュニケーションを密にとって良好な関係を築いてくれています。本格的にコンサルティングを依頼したときには、すでに安心して相談できる関係性ができていたので、他社と比較したり乗り換えたりなどは考えませんでした。

 

また、きらぼしコンサルティングのサポートの費用対効果が良いことも、他の会社の検討を考えない理由の1つです。コンサルタントによって顧客との接し方は異なると思いますが、弊社を担当してくれている方はまるで「社内の人」のように深く関わりながらサポートしてくれています。先日は、私の家で社員と一緒に開催した飲み会にも参加してくれました。社員も「外部の人」という認識ではないと思います。

「外部の人」「社外のコンサルタント」という認識が強いと「この相談内容はコンサルティング契約の範囲内だろうか」などと躊躇してしまいます。そうすると、大きな問題なのに着手が遅くなる、という危険性もあります。そういう点で「社内の人」のような存在は、気軽に相談でき、非常に心強いです。ここまで近い距離感で接してくれるコンサルティング企業は少ないのではないでしょうか。

経営者は必ずしも一人で経営判断をしなくても良い

ーー今後きらぼしコンサルティングに期待することはありますか。

先ほど説明したとおり、東南アジアには冷凍文化がない国がたくさんあります。医療の分野でも冷凍庫は必要ですし、冷凍技術で食品を長期保存をすることで必要なときに必要な分の食材を供給できる流れを作ることもできます。冷凍技術はさまざまな可能性を秘めているので、まずは冷凍文化のない国に向けた冷凍庫を製造することが、直近で達成したい目標です。

それにあたって、現在と変わらない立ち位置でサポートし続けてくれると理想的です。もちろん、ただ馴れ合いのような関係を期待しているわけではありません。

現在の担当コンサルタントの方は、社長という立場だからこそ私から従業員に伝えにくいことや、反対に従業員から私に伝えるのが難しいことなどをヒアリングして、相手に伝えるということを日々行ってくれています。「社内の人」のような距離でいてくれつつ、第三者の立場からの意見もくれるので、みんな相談しやすいんです。

私たちの自我や欲、一時の感情などで大損失が起きないように第三者の視点で調整してくれている感覚です。こういった組織づくりの面でのサポートも引き続き期待しています。

 

ーー今後コンサルティングを活用しようと考えている企業にアドバイスをお願いします。

きらぼしコンサルティングはクライアントにヒアリングを行い、課題に合わせた専門の人材をアテンドしてくれます。一度相談して、自社の悩みや課題をとりあえず伝えるだけでも、柔軟に対応してくれると思います。

相談して課題の解決策を得られれば「経営者は必ずしも一人で経営判断をしなくても良い」という精神的な安心感を得られるはず。私は相談の度に「寄り添ってくれて、的確な解決策を提示してくれた」と感じています。

 

<担当コンサルタント 稲より>

きらぼしコンサルティングは銀行系のコンサル会社ですが、様々な業界の出身者も多数在籍しております。今回は長く製造業にいたコンサルタントと工場レイアウト、職務分掌、業務フローの見える化や効率化などの支援を行いました。製造業の中にはルールが明確化されておらず属人的な業務フロー等に頼っているケースも多いかと思いますのでぜひともご相談ください。ご支援が終了しても企業さまの経営がスムーズに行われるよう人材育成も兼ねてサポートしてまいります。共に発展していければと思っております。

 

 

株式会社カノウ冷機

設立:平成10年3月

従業員数:22名

事業内容:

ワクチン・検体保管用冷凍庫、超低温二元冷凍ユニット・特殊冷却ユニットプレ ハブ冷凍庫、冷蔵庫・超低温冷凍庫・店舗用冷凍、冷蔵ショーケースなどの製造・開発販売

HP:https://www.kanoureiki.com/

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